挨拶
聖愛学院は「国語教育」を米国で推し進める目的をもって1993年に設立されました。 日本の学校教育を基準にし、文部科学省の教科書を使用し新学期は4月から始まります。 聖愛学院には児童が日本と米国いう二つの国家の文化と言語を身に付けて、将来は太平洋の架け橋となり得る人材に育てるという理想があります。 国家とは文化であり、文化とは言語であり、言語とは国家です。 言語は国家という領土が滅びても、その言語を使う人がいる限り滅びません。 国語教育にあたって、幼稚部では先ず基礎となる日本語の言語脳を構築し、小学部低学年では国語の基礎を身につけ、高学年では学力を伸ばします。 中学部では日本の文化や古典を理解し、日本の新聞の社会面や文化面を音読し、その内容を受容し、討議し、そして自分の考えを論理的に記述できるまでに育てるという幼稚部から中学部までの一貫教育を実施しています。 一貫教育の実施にあたり、最初からクラス編成を10名までの少人数に限定しました。 何故なら、黒板を使用して多人数の生徒に教え、分からないところは家庭学習に委ねる、という従来の土曜補習校形態では生徒の一人一人が理解しているのかどうか把握することが出来ずに一方的に教えるだけになってしまうからです。
少人数制の利点を活かし、午前中は文部科学省の教科書を使用した一斉授業をしますが、午後は個々の生徒の席を回って分からないところを教え、副教材で弱点を補強し、プリント教材で前に進めるという習熟度別授業を基本としています。 この方法で授業を進める時に、2学期には1学年の勉強を終了させたり、次の学年に飛び級できる学力をつけさせたり、漢字検定や日本語能力試験に備えさせたりすることが可能になりました。 日本に帰国しても同学年の児童に比べてはるかに高い学力を身に付けています。
聖愛学院の国語教育の最終目的は書くこと即ち作文力の養成です。 作文を書くには読解力、語彙力、漢字力、文章力、構成能力などの全ての国語のエッセンスが集約されるからです。
言語は100%でなければ言語ではありません。 英語が70%で日本語が80%であれば合計で150%になるのではなく、どちらも中途半端なので両方の国で大成できないのです。
イギリスの文豪シェークスピアは全部で4万種類の英語でハムレット他の大作を残しました。 しかし明治の文豪森鴎外は40万種類の日本語を駆使して数多くの名作を残したのです。 英語は表音文字ですが日本語は表意文字なのでこのように語彙に10倍の差が出てくるのです。
米国の国務省の調査でも外交官研修生にとって最も習得困難な外国語は日本語となっています。
それだけ日本語は語彙が豊かで、様々な表現に満ちており、奥が深いので、物事を記憶し、思考し、受容し、表現するには最も適した言語であると言うことが出来るのです。
将来は日本語を習得し文化を学んでバイリンガルとなり、世界に羽ばたく人材が聖愛学院から巣立つことを祈念しつつ....
聖愛学院学院長 藤村俊次 |